Technical Works

ASC Technical support site

*

業務改善について(3)

   

業務モデリング

業務モデリングの目的は大きく次の5つにまとめられます。

(1)誰が見ても業務がわかること
(2)問題(間違い、ミス、トラブル)が見えること
(3)問題発生を抑止すること
(4)変化に対応すること
(5)人による差異(属人性)をなくすこと

(1)誰が見ても業務がわかること

一般的に企業では、業務掌握や組織規程などで部門の業務が定められていますが、それは文章で記されていることがほとんどです。例えば、人事部であれば「新卒または中途などの採用活動に関わる業務」「人事評価に関る業務」「人財育成、教育研修に関る業務」「給与、賞与の計算に関わる業務」などです。業務内容は文章で把握できても、業務の流れは記されないので、実際の各種手続きの際にはどのように部門間で業務が流れているかは、該当部門の人でないとみえてこないことが多くあります。
また、通常は企業の規模が大きくなればなるほど、経営と現場の距離は遠くなり、経営は現場に目が行き届きにくくなります。そのために職制を敷き、ミドルマネジメントを部門責任者に置き、部門責任者は自部門のラインマネジメントに努めますが、規模の限界があります。何か問題が発生した際には部門責任者が担当者を呼び、詳細を聞くということになりがちです。
細かい業務レベルまで部門責任者が知っている必要はありませんが、少なくともどこで、どのような業務が行われているかは知っておく必要があります。

(2)問題(間違い、ミス、トラブル)が見えること

業務フロー等を開示し社内で共有していると、問題が発生した場合に発生個所の特定や原因究明を素早く行うことができます。問題解決に向けて素早い対策を打てるだけでなく、責任の所在も明確になります。

(3)問題発生を抑止すること

問題が見えることにより、問題を起こさないように注意深く業務を行うといった、「適度な緊張感」を作り出すことができます。誰からもみられていないと、人間は手を抜いたり、気が緩みがちになります。お互いの業務が見えていると、誰がどの工程に関わっているかが見え、周りに迷惑をかけないという意味で、手を抜くことができなくなります。

(4)変化に対応すること

企業を取り巻く環境の変化が激しく、事業環境の変化に応じて製品やサービスの提供のやり方を変えることは今や珍しいことではありません。より無駄なく、より効率的に業務を行っていくために、企業そのものも変化に対応したスピーディーな進化を求められていきます。
製品・サービスの高付加価値化、顧客の囲い込みなどビジネスモデルが変更されると業務プロセスが変わります。そのため、社内のあらゆる部門の業務フローがきちんと可視化されて、定期的にメンテナンスされていることが重要です。
これができていると、企業は急激な環境変化にも対応することが可能です。

(5)人による差異(属人化)をなくす

業務の標準化とは、業務スタンダード(標準)を構築することです。業務は時間とともに複雑化、多様化していきます。複雑化・多様化している業務は属人的な部分が多く、担当者が変わると業務範囲や責任の所在も変わりがちです。標準化できる業務は、業務が流れてくる部門や流す先の部門は異なっても、業務プロセスの処理そのものが同じ、またはタイミングだけが異なり、他の要件である業務のインプット、アウトプットなどは同じという業務が対象です。
簡単な例を図3-1に示します。この3つの例は、一見、業務プロセスを見る限りは違いが見えてきません。これは業務一覧表も同じです。業務フローをより細分化していくことではじめて、実はAさんとBさんはやり方が違うということが見えてきます。チェック業務では、Aさんは目視チェックだけですが、Bさんはマスタデータと常に照会をしており、そこで間違いがあった場合は差し戻すという処理を行っています。データ入力業務では、Aさんは随時、リアルタイムで入力を行っていますが、Bさんは上司の指示や実際に入金を確認してからでないと入力処理は行わないようなバッチ処理で行っています。
見積書の作成では、Aさんは自分のPCの表計算ソフトで都度作成し、作成後は自分のPCのデスクトップ上に保管しています。一方、Bさんは会社の標準的な共通書式を用いて作成し、作成後はサーバー上に保管し部門として共有しています。

図面5_1

このように、業務モデリングを細かく行うことで、業務プロセスを細分化することができ、属人的なやり方が明らかになります。

【参考文献】
世古雅人、渡邊清香 「業務改善手法 入門」 技術評論社

The following two tabs change content below.

杉野良太

最新記事 by 杉野良太 (全て見る)

 - 手法

Loading Facebook Comments ...

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


画像で表示される認証コードを入力して下さい。

CAPTCHA


  関連記事

図面1
業務改善について

日々行っている業務において、効率化、合理化する作業はつい後回しにしがちです。 作 …

図面4
業務改善について(2)

問題発見の5つのポイント 問題発見には5つのポイントがあります。 (1)目的 「 …